鎌倉芸術館

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新垣隆が語る 「サイレント映画との出会いと魅力」

出会いから

 私が和洋楽団「カラード・モノトーン」の鍵盤奏者として初めて無声映画上映に参加したのは、2001年の8月、鳥取の三朝(ルビ:みささ)での公演であった。メンバーであるフルートの鈴木真紀子さんより電話があり、当初予定していたピアニストが急遽出られなくなり代役を探しているという事で、予定も空いていたし、無声映画での演奏というのもちょっとおもしろそうだなと思ったので、2つ返事で引き受けた。
 間際の事だったのでリハーサルは当日会場でとなり、活動弁士の澤登翠さん、マツダ映画社の松戸誠さん、カラード・モノトーンのリーダー、湯浅ジョウイチさんとは公演前日、空港で初めてお会いした。その「はじめまして」のあいさつの間もなく、到着した三朝温泉の立派な日本旅館にて公演の主催者の方たちと(その日2回目の)はじめましてのあいさつを交わし、早速公演メンバーの一員としての厚い歓待を受け、更には松戸さん、湯浅さんと相部屋というなかなか思い出深い一日であった(もちろん、その翌日の初めての公演経験が大変印象深いものであった事は言うまでもない!)
 以来、日本各地での澤登さんの公演に一座として同行し、翠さんの声、楽団のアンサンブル、そして映像(ルビ:フィルム)(―に関わった百年近く前の数多くのスタッフたち―)とでひとつの「作品」をつくっていく事の悦びにすっかり取り憑かれ、やがて無声映画は私の音楽活動から切り離す事のできないものとなっていった。
 澤登さんの実に味わいの深い話芸、そしてカラード・モノトーンの音楽スタイルは、何れも映画が作られた当時―主に大正時代―の「伝統」受け継いだものだ。澤登さんの師である松田春翠とその伴奏を務めたアンサンブル「想い出」は、トーキーの出現により「劇的に」消滅してしまったその「文化」を、体で識っていた人たちで、澤登さんはその精神を引き継ぎながらも、同時にその文化を対象化する視点を併せ持っている。それはその「対象」への深い理解と心からの共感なくしてはあり得ない。稀有な存在であり、「味わい」を持つ、というのはそういう事だと思う。(後略)

無声映画鑑賞会会報『活狂(カツキチ)』No.172 より

澤登翠に聞く 「活動弁士とは?」

●弁士とは何か
 昔は、映画には音がなくて、すべて無声映画でした。そういう無声映画をある時は語り手のように、ある時は声優のように登場人物の性格を表現してわかりやすくお客さんに語る人、これが弁士だと思います。

●上映会の前に準備すること
 まず、担当する作品を繰り返し見ます。フィルムやビデオで何回も繰り返し見て、内容を把握します。そして、弁士の台本を書きます。それから、書いた台本を映画に合わせて語っていきます。そこで、「この部分はもっと言葉が必要だな」とか、「ここはこのナレーションは必要ない」とか、台本を加筆、訂正あるいは削って練り直します。そして、もう一回映画と合わせて語って、台本をどんどんいいものにしていきます。そういう作業を必ずしています。

●登場人物の性格表現について
 特に声の使い分けを意識しているわけではありません。つまり、映画を自分のものにしてしまって、映画の世界に自分が入り込むと、たとえば、武士、町人、武士の娘というふうに、役柄や年齢に合わせた声が出るようです。ただ、私の声帯はひとつですから、あくまでも私の声の範囲で、武士らしい声m町人らしい声が出ればよいなと思っています。全体の流れの中にとけこむ形で人物表現ができればと願っています。その映画の世界、たとえば江戸時代や19世紀のフランスの世界に入ってしまうと、自然にその声が出てくるという感じです。
 いかにその映画を理解して映画の世界に没入できるか、入りこめるかということが、その役柄に適した表現の一番の条件のような気がします。

●昔の弁士さんと比べて
 弁士がたくさんいた無声映画時代は、弁士の存在が当たり前でした。ところが今は、弁士というものを知る人は非常に少ないです。特に若い人はまったく知らない人が多い。ですから、大変さという点においては今の方が大変だと思います。つまり、「弁士とはそもそも何か」という説明から始めなくてはなりません。(中略)
 それから、無声映画時代には長い作品を三人くらいの弁士で担当することがありました。今は一人でひとつの作品を通しで担当しています。弁士を続けてきた私の個人的な思いからすると、最初から最後までひとつの映画を語るほうがいいですね。それはその映画に完全に最初から最後まで責任を持つわけですから、そのほうが弁士としてのやりがいとか、張り合いがあります。昔と今、つまり弁士の数が多いか少ないかという問題はありますが、仮に今、たくさんの弁士がいたとしても、私は最初から最後まで一人で語りたい。それは弁士の欲求としてあります。

マツダ映画社監修・無声映画鑑賞会編集『活動弁士―無声映画と珠玉の話芸』より

かまくらシネマ 名作サイレント映画 16mmフィルム特別上映
活動弁士&ピアノ演奏付 『椿姫』 『オペラ座の怪人』

映画が発明されて約120年、そのうち最初の約40年間、映画には音声がありませんでした。
所謂、無声映画の時代。とはいえ、音のない映画を静かにじっと見つめていた訳ではありません。
欧米では、劇場の規模によってオーケストラからオルガン演奏まで様々な形態の生演奏と共に、
加えて日本では活動弁士と呼ばれた語り手までついて、賑やかにライブで映画、当時は活動大写真を楽しんでいました。
活動弁士、正式には映画説明者とは、今風に申しますとナレーターであり、
登場人物すべての役をひとりでこなす声優であり、弁士用の台本まで書く、まさにスーパークリエイターなのです。
時空を超えて今なお色褪せない名作を、活動弁士の絶妙な話芸と場面を一層盛り上げるピアノの演奏で楽しむ
「サイレント映画ライブ」は、まさに劇場で完成する映画なのです。
“今”しか見ることの出来ない貴重な映画体験を是非ご堪能ください。



『椿姫』 上映時間63分(1921年アメリカ映画)

イタリアの作曲家ヴェルディが、オペラの題材としてとりあげ
世界中に広く知られることとなった『椿姫』は、これまで幾度となく映画化されている。
田舎から出てきたばかりの学生アルマンは、華やかな夜のパリを飾るマルグリットと出逢う。
その美しさから“椿姫”とも呼ばれていたマルグリットだったが、彼女は富貴も爵位も関係なく、
ただ真実の恋に生きたいと願っていたのだった。
熱烈な恋に落ちた二人は同棲をはじめるが、病気がちだったマルグリットは、
密かに自分の衣服や調度品を売って生活費にあてていた。
そんなある日、アルマンの父が突然マルグリットを訪ね、息子との別れを願い出るのだった・・・。

[原作]アレクサンドル・デュマ・フィス
[監督]レイ・C・スモールウッド
[出演]アラ・ナジモヴァ(マルグリット・ゴーティエ)
     ルドルフ・ヴァレンチノ(アルマン・デュヴァル) ほか



『オペラ座の怪人』 上映時間75分(1925年アメリカ映画)

ミュージカル作品としても有名な『オペラ座の怪人』。
本作品は、壮大なセットに大群衆を動員し、巨額の制作費を注ぎ込んで制作された。
19世紀末、パリのオペラ座に仮面を着けた黒マントの怪人が現れると噂が立っていた。
その頃、人気プリマドンナの代役を務め大成功を収めたクリスティーヌだったが、
彼女に部屋の壁越しで歌唱指導をしていた男こそ、オペラ座の地下に住みつく怪人エリックだった。
恋人ラウールに想いを寄せるクリスティーヌに、エリックの気持ちが受け入れられることはなく、彼は怒り狂う。
舞台に立つクリスティーヌをさらい地下へと逃げたエリックだったが、果たして彼を待ち受ける結末とは・・・。

[原作]ガストン・ルルー
[監督]ルパート・ジュリアン
[出演]ロン・チェイニー(怪人エリック)
     メアリー・フィルビン(クリスティーヌ・ダーエ)
     ノーマン・ケリー(子爵ラウール・シャニー) ほか

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